倉敷視察ツアーその1

広島転勤以来加入している、広島住宅研究会のメンバー達で、今年は倉敷の古民家再生事例を見に行きました。

今年4月から会の代表に栄花彰子さんが就任し、いろいろな方面の講師さんを積極的に招待し、私が知り得る限り、1番活性化している広島住宅研究会の視察旅行です。

自家用車2台で広島駅を8:00に出発し、一路倉敷へ!
私自身、倉敷は初めてでした。過去(子供の頃)に行ったつもりでしたが全然違っていたので、どこかと記憶違いしていました。

里庄の家

まず最初に訪ねたのは9月に広島住宅研究会の講師として来ていただいた和田洋子さんの設計「里庄の家」。
木組みの見える古民家再生住宅の改修手法を見せていただきました。
外観は焼き杉が使われており、この辺りでは今も近くで焼き杉を作っているとのことです。
建具も木製窓に(※1)真空ガラス「スペーシア」を組み合わせることで、厚みを3cm程度に抑えています。
そうかぁ、「スペーシア」は厚6.2mmなので、網入りガラスよりちょっと薄いから木製建具に組み合わせるのもあり(大丈夫)なのか、と思いました。
「スペーシア」は、古いサッシ窓に納めることのできる取替用で高価なガラスとしか認識していなかったので、目から鱗です。
傷んだ柱脚を「根継ぎ(金輪継ぎ)かなわつぎ」加工でキレイに納められていました。
敢えて、新旧の色分けがわかるようになっていました。
なんと言っても、既存の梁の湾曲がすごい!面白い!。。。でも、なんか家の息遣いを感じる。
当時の大工棟梁さんはよくもまぁ、曲りくねった材を使って納められたなぁ、ただただ感心です。
施主様のおばぁちゃんが縁台で気持ち良さ気に“日向ぼっこ”されている姿・光景が目に焼き付きました。

旧野﨑家

次に和田洋子さんの事務所へ向かう経路にある、製塩と新田開発で財を成した、国の重要文化財「旧野﨑家」に入館。
長屋門を抜けると目に飛び込んできたのが連絡して並ぶ土蔵群。形状が一律ではなく大小違っているところが視覚的によく映りました。
大きな屋敷で、表書院は堂々とした佇まい、9つの座敷が連続する中座敷も圧巻です。
なんと言っても庭園の苔がとても綺麗でした。
朝の連ドラでも「塩づくり」が取り上げられていて、「昔はこうだったのか」と知識を得る機会となりました。

井上家住宅

お昼に合わせて、和田洋子さんの手がけた「児島舎」でランチタイムをいただき、いよいよ倉敷美観地区に向かいました。
駐車場がすぐには見つからず・・・と思いきや、ちょっと離れたところで2台分確保でき、歩いて宿泊先の古民家ゲストハウス「有隣庵」に荷物を預け、二件隣で保存修理中の“倉敷最古の町家建築”「井上家住宅」現場公開見学に行き、概要を文化財建造物保存技術協会の説明を受け、施工者の藤木工務店さんに左官施工の実況説明も聞きました。
姫路城や元興寺など住宅以外の修復工事は見に行ったことがありましたが、300年前の木造建築物の解体修理、半解体修理現場を見るのは初めてです。

旧大原家住宅

まだ時間があったので美観地区・倉敷川に面する大原美術館の向かいに位置する「旧大原家住宅」に入館しました。まだできて間もなく、展示館も綺麗です。井上家住宅から参加された庭師・坂本拓也さんによる座敷からの庭を見た敷石や木立配置の意味合いを専門家の目線で解説いただき、聞いていた一同(住宅研究会のメンバー、和田洋子さん、館内案内人さん、他の見学者さん)もワンランク知識が深まった有意義な時間となりました。中でもここ(旧大原家)の案内役が「勉強になりました!」と1番感心して聞き入っていたように思え、きっと明日から自分の言葉で今聞いた話をするのだろうね、と思いました。あ!月曜は休館ですね。

大正建築の銭湯「ゑびす湯」

夕食まで少し時間があったので、居合わせた4名で宿泊先から徒歩5分ほどにある銭湯「ゑびす湯」に入りました。
今は少なくなった、昔=昭和レトロを存分に感じる古い銭湯でした。
番台にいたおばちゃんに聞けば大正建築だそうです。至る所に昭和を感じる広告や体重計、水冷クーラー、マッサージ機など、古民家見学ツアーにはぴったりなお風呂でした。

馳走屋菜乃屋

夕食・懇親会は、これまた古民家を使った居酒屋さん「馳走屋菜乃屋」の2階(小屋裏)で、朝からお世話になった和田洋子さん、8月の講師・石井正彦さん、10月の講師・坂本拓也さんも参加いただき、皆さん建築談義に火が点いていました。この居酒屋さんは建物にあまりお金をかけていないので、「勾配天井の隙間のコーキングはダメじゃね、最低押し縁にしてほしい」など建築屋の突っ込みも炸裂です。

懇親会のあとも倉敷の町を歩き、2次会に適したところを探して歩き回り、ワインチームと居酒屋チームに分かれて過ごし、宿に戻ってきた元気のある4名で3次会に繰り出し、shot bar で2時まで飲んで、1日目が終わりました。

(※1)真空ガラス(しんくうガラス)は、1994年、日本板硝子株式会社とシドニー大学が提携し、商品開発された複層ガラスで、板ガラスとLow-Eガラスを重ね、その間を0.2mmの真空にした中間層を設ける形で1ユニットを構成した商品「スペーシア」のこと。
真空ガラスは2枚の間の空間を真空にするため、商品の室内側右上部の穴より空気を吸引し栓をする。その栓を保護するために「保護キャップ」と呼ばれる樹脂製のキャップが設けられており、外気圧で2枚のガラスが着いてしまうことを防ぐため、間に「マイクロスペーサー」と呼ばれる厚さ0.2mm、直径約0.5mmのスペーサーを20mm間隔で挟み込み真空層を保持している。気体による「対流」や「伝導」を抑えることを目的として中間層を真空とし、加えて「放射」も抑えることを目的としてLow-Eガラスを使用している。

  • 柱脚「根継ぎ(金輪継ぎ)」

  • 小屋梁

  • 真ん中におばあちゃんが日向ぼっこ

  • 土蔵群

  • 苔が美しい庭

  • 児島舎

  • 児島舎

  • 倉敷川

  • 旧大原家住宅(左)

  • 旧大原住宅座敷から坂本さんの解説

  • 旧大原住宅座敷から坂本さんの解説

  • 大原美術館を見る(中)

  • ゑびす湯

  • 水冷クーラー

  • 体重計

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